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2008年 06月 20日

拘泥





自分はどちらかというと、拘泥するほうだ。いや、かなり拘泥する方だ。日々様々な場面で拘泥してしまうが、もっとも時間を割き、思案し、念じる場面は、やはりなんと言っても構図を決める時分だ。例えば夏の日本海の海を眺める。構図作りには絶好の風景だ。空と海の境目に見惑う青い海面。右には小さな島がある。中央に小さく見えるのはタンカーだろうか、動きを止めたようにゆっくり進んでいる。手前にはまぶしく太陽光を反射する砂浜、そして、左には高く切り立つ岩が露出する。全てを取り込みたい気持ちもあるが、ここは冷静にじっくり念入りに構図を熟考する。最初はあの右の島をなんとかせねばと、右へ移動。すると島が次第に移動してゆく。適当な位置で立ち止まり確認。島の位置は決まったが、今度は左の岩が不自然だ。そして、さらに右に寄ったことによって、砂浜が途切れてしまった。焦点距離を変えればいいのだが、やはりワイドで撮りたい。しかし、どれもこれも自分の意図するようには組み立てられない。今度は膝を曲げ、目線を下げて見る。ちょうど空気椅子に座る格好だ。他人からは変な奴と見間違われるかも知れぬが、カメラを抱えてるから構図でも作成してるのだろうと理解してもらえるだろうか。さて、目線が下がるだけで大きく雰囲気が変わるのが写真の悦楽だ。意外とこの目線下げ空気椅子姿勢は、どこの場所でも効果的だ。ようやく自己の拘泥も落ち着きを見せ始め、シャッターを押す手前まで至った。が、今度はあのタンカーが見えない。しまった、もたもたしていたせいでどこかへ去ってしまったようだ。ワンポイントの役目としては申し分ない被写体であったが、これも拘泥の為、仕方ない。取り急ぎ撮ろうかとしていると、なんだなんだ、若い今風の格好をした三人組が、なにやら肉焼機と思しき機材を設置し始めた。虹色の娯楽防水布を広げ、3人は手際よい分担作業を開始した。たまらん。たまらん。因果だな。己の頭で描いたリッチな海岸の情景は消え去り、そこにはまさしく昨今の砂浜情勢のごとく有様に変わり果てた。こうなればやけくそだ。それならば、あの連中を構図の主役に至らしめてやる。おい主役頼んだぞ。今度の構図作りはあの連中にいかに悟られず、いかに自然体に絵にするかが最重要課題だ。もちろんこんなところでは空気椅子姿勢の使用は絶対に厳禁だ。もし奴らに見つかりでもしたら、連中は自分を肉のネタ(タレ)にするかも知れぬ。まあ、それならそれで、こっちには証拠を捕らえるカメラを持っている。暴挙に出るのであれば、連射するまでだ。しかし、相手は3人、こっちは一人、しかもこっちは大切なカメラを抱えてる分更に半減。確実に不利だ。しかし待てよ。ここは逆に空気椅子姿勢を取る事によって、笑いを誘い、なんだ面白い奴と、一気に仲良しになるかも知れぬ。そうなれば、あの肉にもありつける可能性もある。さて、どうするべきか、さらにさらに拘泥は続く。



なお、この写真は、カップルが服のまま海水浴を満喫している所を捕らえたものだ。ちなみに約束通りレタッチはしていない。



煮物
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by ilove-dart | 2008-06-20 23:15 | こだわり


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